エル・グレコを観に、上野に行ってきました。
でも、日本の美術館って、撮影禁止なんですよね。
これだけ
西洋カブレが多い割には、何年たっても変わらないのが不思議…。
ま、ストロボがバチバチ光るよりいいか?!
(でも、あの「音声案内」が普及してから、マナーが悪くなったと思いません?)
だから、エル・グレコ関係の写真はここまで。

それにしても、予想以上。
「一度見上げたら、忘れられない」というキャッチフレーズ通り、すごい迫力に圧倒されました。
イエス様やマリア様を見上げていると、信仰心のかけらもないタカ爺の頭の中にも、不思議なことにいつしか祈りの言葉がこだましているのでした。
「神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、我らをあわれみたまえ」
信じてもらえないかもしれないけど、ホントに聞こえてたんです。ず~っと。
どうしようもない罪人の自分ですら、もしかしたら救っていただけるのかも・・・?!
希望の光がかすかに見えたような、不思議な感動がありました。
それはともかく、(え?そんなに簡単に話題変えるわけ?)
上野のお山は春の陽射しに包まれて、暑いくらい。

そして、振り向けば
お花見の大群衆。
英語やフランス語、中国語、それにどこの言葉か分からない異国の言葉が飛び交って、世界中の人たちがお花見に来たような感じです。

平和って、こういうことなのかもしれません。

また、ここにも
「プチ天国」。
「あ、飛行機雲!」
「あのこの命は、飛行機雲~♪」(ユーミンのつもり)な~んてね。
気がつけば、そもそも、上野のお山は
「霊場」なのでした。

江戸時代、山全体が東叡山寛永寺の境内だったことは有名ですが、それだけではありません。
明治維新の時にはここが戦場となり、たくさんの血が流れたのです。
いわゆる
「上野戦争」です。
これは、そのとき散った
彰義隊の慰霊碑です。

坂口安吾さんではありませんが、ひょっとすると、その時流されたたくさんの血が、これだけの桜をみごとに咲かせている。…のかもしれません。
(安吾さんによれば、東京大空襲の犠牲者も上野のお山で火葬されたとか)
タナトス(死の本能)の存在は、エロス(性と生の本能)を一層輝かせるのです。

明治という新しい時代も、たくさんの犠牲者たちを「祟り神」として祀ることで、平和と繁栄を祈ったのでしょう。
(梅原猛先生の『隠された十字架』の受け売りというか、勝手な応用です)
そういえば、このお方も、近代化の犠牲者と言えるかもしれません。

西郷さんも、彰義隊も、新撰組も、白虎隊も、旧き善き
「Last Samurai」たちはみな祀られ、今や「守り神」として日本の春を見守っているのではないでしょうか。
そういえば、上野の花見客って、あれだけたくさん繰り出して酒をかっくらっている割には、「事故」が少ないと思いません?
これはきっと、英霊たちが見守っているんですよ。花の陰から。
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